 | 日本の藍染めで主に用いられるのがこの「たであい」です。名前の通り「たで科」の多年草で、東南アジアが原産地です。ただし、日本では冬越しできないため一年草として扱われているようです。栽培品種がいくつもあり、写真の物は藍染め用に一般的に栽培されている物に較べると葉が丸いようです。
(2010/09/11 自宅の栽培品) |
花のクローズアップ。「いぬたで」に似ていますがやや大きく色が鮮やかです。 (同上) |  |
 | 染料としての主成分「インディゴ」は本来、虫の食害から葉を守るための物のようで、傷ついた部分で「インディゴ」生成して青くなります。藍染めした布が虫に食われにくいというのはこのためでしょう。
(2010/09/12 同上) |
藍染めに用いられる植物は、世界各地にいくつもの種類がありますが、最も大量に栽培され工業的に利用されたのは、インド原産の「インド藍」と呼ばれる「まめ科」の木の葉で、明治以降日本でもこれが輸入され主流になりました。日本の植物では「こまつなぎ」が「インド藍」と同じ仲間ですが、「インディゴ」は含みません。
染料「インディゴ」は19世紀末に化学構造が研究され、ドイツのバイエルによって初めて全合成されました。その後いくつかの合成ルートで工業化され、後の染料・医薬工業(現在ではより広い分野を含めて精密化学工業とも呼ばれます)の発展の基礎となりました。これは、初期の合成染料(いわゆるタール色素)の中に殺菌作用がある物が見いだされたためです。たとえば、梅毒の最初の特効薬「サルバルサン」は赤色色素を大量に合成した中から発見されました。今でも「タール色素」の一種である「メチレンブルー」や「マラカイトグリーン」は、養殖魚や熱帯魚の治療薬として使われています。
また、「インディゴ」の化学構造と染色の原理が解明されたことによって、より取り扱いやすい「インダンスロン」などの「合成建て染め染料」も開発されました。「合成建て染め染料」のいくつかは軍服(戦闘服)の染色に用いられたため、戦時には軍需物資として扱われました。今でも一部が「対赤外線迷彩」用として利用されています。
「帝王紫」で有名な「貝紫」も実は「インディゴ」にごく近い化合物(ジブロムインディゴ)ですが、こちらは効率良い合成法が見つからないうちに、別の化学構造の紫色の染料がいくつも発明されたため、工業化はされませんでした。また、「インディゴ」の構造を少し変えて水溶性にした「インディゴカーミン」は、青色の食用色素や医薬品着色用色素として用いられています。 |
2010-09-19 12:27
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